1ヶ月以上経過してものづくりコラムのお届けです
前回のコラムでは
色水の入った手作りガラスを"お箸置き"として企画開発したものの
売れ行きが思わしくなかった というお話をさせて頂きました
過去にも
予測と結果が釣り合わないことはありました
しかしながら
こんなにも画期的で会話の生まれる商品を製作できたため
かなり手ごたえを感じていたのですが
お客様にカタログをお届けしても大きなリアクションがありません
満を持して展示会で色水お箸置きをお見せしたところ
「こんな仕掛けだったんだ！」と一応に喜んで頂きましたが
通常の"写真メインのカタログ"では
硝子の中で揺れるお水を表現できず
小売店さんからの発注に至りませんでした
思惑の外れた結果になった私は
この商品が大好きなだけに何とか世に出してあげたいと
懸命に営業努力したのですが期待したほどの成果はでませんでした
そんな数ヶ月たったある日
「商品を取材したい」と申し入れがありました
おかげさまでこれまでも
華道やギフトの雑誌に様々な商品を掲載頂いているため
珍しい申し入れではないのですが
「掲載するまで全ての詳細はあかせれない」
と言われたことは初めてでした
普通でしたらお断りしますが
電話を頂いた担当者さんが文章(コピー)を書かれるということ
その方が誠実そうな若い女性であったこと
色水お箸置きを含めたページを作ること
掲載に関する費用は必要ないこと
などを伺い
(電話ではありましたが)そのお人柄にほれ込んでお願いしました
更に1ヶ月を経たある日から
突然"色水お箸置き"の電話注文が舞い込むようになりました
それも小売店様からではなく一般のお客様からです
個人向けにはカタログを配布していないので
「どこでこの商品を知ったのですか？」と質問してびっくり
あの飛行機会社の月刊誌『翼の王国』に掲載されているとことでした
しかも
巻頭2ページに写真も文章もたっぷり載せて
色水お箸置きの特長である「色水と空気のバランスの可愛らしさ」を
しっかり伝えて下さっています
ご存知の通り飛行機は
離陸してから何か手持ち無沙汰な時間があり
座席の前ポケットをゴソゴソします
その時
取り出した『翼の王国』を開けると
ボリュームたっぷりに表現された"色水お箸置き"が出てきた訳です
あわてて私は担当の方へお電話し
事の成り行きについて説明をお願いしました
そうすると
飛行機会社の月刊誌を担当していること
今回が彼女の最初の記事であることを教えて頂きました
そんな彼女が「なぜプリーズを取材したか？」を伺うと
学生時代
個人的に購入したプリーズの別のはしおきが大好きで
その後ろに付いていた電話番号入りの取扱説明書を大切に保管しており
「自分が記事を書けるようになったら
まず最初にこの会社のこの商品を取材しよう！」
と決めて連絡して下さったとのことでした
それは
巾着袋の形をした硝子のなかに
小さな金魚が泳いでいるお箸置きだったのですが
取材してみると"新製品の色水お箸置き"もあるため
一緒に掲載して頂いたということでした
皆様もよくよくご存知の飛行機会社なため
記事を見られた多くのお客様から沢山のご注文のお電話を頂きました
私が上手く世に出して上げれなかったこの商品は
思いもかけないこのようなかたちで皆様のお手元に届いたのでした
最後になりますが
現在の色水はしおきは3品を残すだけとなりました
理由は
製法がとても難しく得意としていた工場が
製造を打ち切られたことからでした
私はこの商品を見る度に
「真実は小説より奇なり」という言葉を深く思い知らされます
私にとって大変ドラマチックな商品でした