月1連載目標の
ものづくりコラムをお届けします
今回の商品「PT-22 ロマンティック・ハートキャンドル」は
今から12年前に発売した商品です
西暦2000年
世界中がミレニアムをお祝いしていた時にこの商品を発表しました
少し話は前後します
現在
手づくり硝子の魅力に引き込まれている私たちですが
社名のなかに"硝子"を入れていないように
初期の頃お店をしていたことも含めて
硝子や花器などに特化する意識はありませんでした
むしろ
会話の始まるものであれば
陶器であれ漆器であれ
素材を問わずチャレンジしたい気持ちがありました
しかしながら
硝子器にぴったりのお花留めを開発した私は
お客様や同業者がガラス関係者になることは自然な流れであり
その方々にお取り扱いいただくには
"やっぱり硝子商品"ということになったのでした
2000年頃の私は
以前ご紹介した名古屋の社長と共に
毎年のように台湾へ商品作りに向かっておりました
台湾には
名古屋の社長と長年コンビを組む貿易商社の方がいて
自分たちが作りたいアイデアを彼に言うと
それができる可能性のある工場へ連れて行ってくれました
ただし
名古屋の社長は → 花瓶の王道
私は → 会話の始まる雑貨 と
明確に狙いが異なっていたので
二人で行動していますが
貿易商の方に期待するモノは違っています
そんなおり
名古屋の社長の商品作りの順番で
色付きガラスの工場へ行った時
現場でハート型の赤いキャンドルホルダーを見つけました
形も用途も珍しい物ではないけれど
あまりにも赤いハートが綺麗だったので
何か心をひかれるものがあり
お願いしてそのサンプルを一つ持ち帰ることにしました
帰国したのち
「私ならどうして商品にするかな?」と考えつつ
実際にキャンドルをセットし暗い部屋で火を灯すと
光がガラスに反映し
キャンドルホルダーより
一回り大きなハートの陰影が浮かび上がりました
風のいたずらで炎が少し揺らめくと
それに併せて陰影も揺らめきます
そのロマンティックな動きにうっとりした私は
それに見合うパッケージ作りをすることに決心しました
カメラマンさんに
広がる陰影のベストショットをお願いし
デザイナーさんに
揺らめく陰影を箱の上に表現して頂いて
みんなで良い仕事ができたと自画自賛しあい
ご褒美として知り合いのお店にお酒を頂きに行きました
昔から大好きな銘柄「Croun Royal」を
BARのマスターが取り出したとき
そのボトルを優しく包む濃い紫色の袋に注目しました
「そうだ!私のガラスキャンドルも真っ赤な袋に入れてあげよう!!」
完成品の上代を考えると少し道楽が過ぎるのですが
赤い巾着袋に"Romantic Heart Candle"の印刷を施して
プレゼントされる方
プレゼントされた方の両方が
火を灯す前からその商品の世界に引き込まれてもらえるよう
(採算のことは考えず)セットアップすることにしたのでした
この商品は
ミレニアムの世相を踏まえて
商品の解説を写真入りで説明できる
いろんな通販会社さんでご高評頂きました
先程「過ぎた道楽」と申しましたが
工場で見つけた赤いハートのキャンドルホルダーを
綺麗なお化粧をして
素敵なお洋服を着せて商品化してあげることは
私にとって
大切な子供を十分な身支度をさせ
お嫁に出してあげる様な心境なのです