コラム

羽根の角度 たかがとされど

前回の続きです

硝子の職人さんが私たちの目の前へ
最初の試作品であるフラワーベースサンプルを
披露してくれたところから始まります

名古屋の社長の作品や既存の花瓶よりも
好んでより小さな商品を作りかけている私へ
その場に居合わせている全員から
商品化は難しいのではないかしらと
遠まわしに促されました
なぜなら
一目見て花瓶と認識されにくいし
実際に活けるにも小さすぎて
お花選びが制限されるという面からでした

それを聞きながらも私は
予測よりも可愛く仕上がってきたことに対し
商品を近くから見たり遠くに置いたりと
早くもその商品の虜になりかけておりました

皆さんが心配されていることも
裏を返せば
インテリアにも成り得るフラワーベースと言えるし
器が小さい分
お花の量も少なくて良いしお水替えもお手軽と言えます
それよりも
たたずむ天使をイメージして企画したことから
商品名を"天使の花入れ"にしようと考えておりました

ただ一点だけ
私の粘土サンプルと違うところは
商品についている羽根の角度が広がりすぎていることでした

それが大変気になり修正をお願いしたのですが
手作業で付ける羽根のため
角度まで責任を持ちたくないらしく
「努力はするけれど約束はできない」と言われたのでした

私にとっては
この"天使の花入れ"は羽根の角度こそが
商品の命を吹き込む部分だと思っているので
そんなことで引き下がることができず何度も何度もお願いし
最終的に広がりすぎる羽根は
不良品として納品しないことを約束してもらいました

その結果この商品は
プリーズの代表的なフラワーベースとなりました
多くの雑貨屋さんや
生協さんなどの媒体でお取り扱い頂き
デビューから10年以上たちましたが今なお人気商品です
姉妹品として
ピッチャータイプや壁掛けタイプなども企画しました

最後に最近の出来事より
東京の展示会で初めてお会いしたお客様から
「私はこれ(天使の花いれ)を個人的に買ったことがあり
今も家に大事に飾ってあります」
と言って頂いたことがありました
私の大好きな商品を大切にお使い頂いているので
(大げさではあらますが)
その方のことを同士のように思えて
思わず握手を求めてしまったりするのでした

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